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「可愛過ぎるんだけど、ホント。
‥‥‥参ったな。今日はまだ、ここまでするつもりはなかったんだけど」
惚けたような状態の僕をソファーに押し倒し、強く抱き締めて言われた。
そして彼の大きな手のひらが僕の着ていたトレーナーを捲り上げ、剥き出しになった腹に口付けられそうになった瞬間。
古めかしい家の黒電話がジリリと大きな音で鳴り、我に還った。
ドン、と彼の体を押し退け、飛び起きるみたいにして立ち上がり、受話器に手を伸ばす僕。
『あ、もしもし?陸斗?
今日は留守番させちゃって、本当にごめんね!
莉央がどうしてもお兄ちゃんの声が聞きたいって言って、聞かなくて。
じゃあ代わるわね』
何の疑いもなく、楽しげに喋る母親。
本当はめちゃくちゃ心臓がバクバクしていたけれど、何事も無かったような声で答えた。
「うん、それは全然平気!
あ、莉央?いい子にしてるか?
ちゃんと二人の言うこと、聞くんだよ?」
わざと明るい口調で語りながら、横目で西園寺さんの事を睨み付けた。
なのにそこは、さすが変態ストーカーの西園寺さん。
怯むどころか、電話中なのを知りながら、ここぞとばかりに抵抗の出来ない僕の体を後ろから抱き締めた。
「......!!」
声にならない、声。
背後でクスリと笑う気配を感じ、羞恥と怒りに震える僕。
彼の舌先が突然僕の首筋をペロリと舐めたものだから、さっきまでの余韻の残った体は敏感に反応し、ちょっと変な声が出そうになった。
そんなのは絶対妹になんて聞かれたく無かったから、慌てて自分で自分の口を押さえ、それはもちろん無理矢理我慢したけれど。
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