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「ね?陸斗くん。  関係なくなんて、無かったでしょ?」  クスクスと笑いながら、再び胸の先端を摘ままれ、弄ばれる。  嫌だって……関係ないからもうやめてって言ってやりたいのに、僕の唇から出たのは拒絶の言葉ではなく熱い吐息だった。  そして意識が完全に胸に向いている隙をつくように、今度は直接下半身に触れられた。 「んっ‥‥‥!」  突然の事にビックリして、変な声が出てしまった。  すると西園寺さんは僕の首筋に後ろから軽く口付けて、クスリと笑った。 「敏感で、ここも可愛い。  でも、安心して?陸斗くん。  今日は準備もしてきていないから、最後まではしないからね」  その発言の意味するところが分からず、呼吸を乱しながらもプッと吹き出し、言ってやった。 「最後って……?  男同士なんだし、当たり前じゃないですか。  抜いて貰ったら、終わりですよね?」  一瞬の、沈黙。  それから彼はフゥと大きく息を吐き、驚いた様子で頭を抱えながら聞いた。 「えっと‥‥‥陸斗くんは男同士って、どんな事をすると思ってる?」  僕の体で卑猥に蠢いていた、西園寺さんの手が止まった。  だから僕は少しだけ余裕を取り戻し、ちょっと笑って答えた。 「キスしたり、体に触ったり、せいぜい抜き合ったり……ですよね?」  すると西園寺さんは両手で顔を覆い、真っ赤になりながらブツブツとワケの分からない事を口走り始めた。  と言ってもワケが分からないのも、発言が色々とおかしいのもいつもの事なのだが。   「くっ‥‥‥天使過ぎる。  可愛い、好きだ、愛してる!  この子に妙な真似なんて、俺はしてもいいのか?  いや、出来ない。無理だろ。  あれ?だけど……。  何も知らない、穢れを知らない純粋無垢な陸斗くんに、色々俺の手で教え込んでいくっていうのも……」  言われている内容は全く理解出来なかったけれど、またこの人は何か変な妄想を勝手にして、気持ちが悪い事を言い始めたなというのだけは分かった。

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