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 なのに西園寺さんは楽しそうに笑い、先端に親指を当て、焦らすみたいに弧を描くように動かしながら意地悪く囁いた。 「可愛いけど、駄目。  もっと気持ち良くなってるところ、俺に見せて?」  さっきまで胸を弄っていた反対の手も、前に伸びてきて。  溢れ出した透明の体液を手のひらに伸ばし、ねちねちとしつこく僕を攻め立てた。 「いらな……い!  もうこんなの、やだ……」  ガクガクと、震え始めた体。  すると西園寺さんは片手で強く僕を抱き締め、右手の動きを加速させた。 「仕方がないなぁ。本当はもう少し、可愛がってあげたかったんだけど。  でも今日は、許してあげる」  その言葉にホッとし、彼に身を預けるみたいにしてもたれ掛かったまま、与えられる刺激に溺れた。  だけどいざとなったら、羞恥心が甦って来てしまった。  だって西園寺さんの手で、このまま射精させられるとか……。  体の方はとっくに限界なんて越えていたけれど、わずかに残されたプライドだけで我慢を続けた。  すると西園寺さんはクスクスとまた笑いながら、僕の耳にねっとりと舌を這わせた。 「逝きたいってさっきはおねだりしていた癖に、恥ずかしくなっちゃったの?  だけどこのままだと、苦しいよね。  だから俺が君に、命令してあげる」  その言葉にゾクゾクして、また体が震えた。 「……陸斗、逝け」  いつもの優しいモノとはまるで異なる、冷たい声色。  体はまたしても意思を裏切り、この日初めて僕は情けなく、西園寺さんに命じられるがまま彼の手の中に白濁した精を吐き出した。  手を汚してしまったのが申し訳なくて、恥ずかしくてパニクる僕を見つめたまま、彼はいつもみたいに優しく穏やかに微笑み、強く抱き締めた。  これでようやく終わったと思い、ホッとして表情筋が緩んだところで西園寺さんは、僕の背中に熱く硬いモノを擦り付けた。  それに驚き、振り返ると彼は、荒々しく僕の唇に口付けた。

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