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「マシで!?いいんっすか?  やったぁ、めっちゃ嬉しい!」  無邪気に笑うその表情を見て、僕の顔も自然と綻んだ。 「いいよ、どうぞ。  こんなに僕も、いらないから」  鞄の中に無理矢理突っ込んでいたミニサイズのぬいぐるみをひとつ手に取り、彼に渡した。  すると彼はゴソゴソとリュックの中を漁り、ぐちゃぐちゃになった紙切れを取り出した。 「あざーっす!‥‥‥お、あった。  もし良かったら、これ付き合って貰えません?  貰いもんだけど、お礼させて下さい」  そう言って彼が差し出したのは、この近所にある高級ホテルの、スイーツバイキングのチケットだった。  だけどどの道こんなにたくさんのぬいぐるみ、ちょっと持て余していたからお礼なんて言われても困る。  しかも明らかに自分よりも年下の男の子に、ご馳走になるだなんて。 「大丈夫だよ、ホント。気を遣わないで」  やんわりと断ろうとしたら、彼はニッと笑って言った。 「気を遣ってる、とかじゃないから。  これ、今日までなんで。  お兄さんが付き合ってくれなかったら、ただのゴミになっちゃうヤツ」  日付を確認すると、確かにこの子の言うように、今日で期限が切れるらしい。  コミュニケーション能力が高い方ではないけれど、貧乏性が顔を覗かせ、彼の言葉に心を揺さぶられた。 「ね?行きましょうよ。  実を言うと、ホントはお礼なんてただの口実なんで。  野郎一人だと行き辛いなって思ってたから、誰でも良いから付き合ってくんねぇかなって」  上目遣いに僕を見上げるその表情に、庇護欲を煽られた。  なんていうか‥‥‥妹の莉奈にお願いされてるのと、同じような気分になってしまう。   「ありがとう。  ならお言葉に、甘えさせて貰おっかな」  僕が答えると、彼は嬉しそうにまた笑った。

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