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 だけど山田くんは山田くんで、懲りる事なく挑発するようにギャアギャアと騒ぎ立てた。 「誰が、馬鹿猫だよ!  しつけ直すも何も、お前にしつけられた覚えなんか一回もねぇし!  てか開き直んな、このヤリ○ン野郎!」  しかしネクタイを掴まれたままだったから、更に強く引かれ、オェェと軽く山田くんはえずいた。 「あぁ、うん。えっと‥‥‥彼がいつも|統《すばる》くんが話してる、山田 太郎くんか。  なるほど。確かに一筋縄では、いかなさそうだ」  山田くんの発言は完全にスルーしたままククッと可笑しそうに笑う、西園寺さん。  すると穏やかな微笑を浮かべ、神宮寺くんもそうなんですよねぇと嬉しそうに答えた。  いやこれ、にこやかに話す場面なのか?  なのにドン引きしながらも、とりあえず僕は三股を掛けられていたワケではなかったらしい事がわかったから、ホッとした。  ‥‥‥ほんの、ちょっとだけ。  その間も山田くんは離せだのなんだのと叫び続けていたけれど、唖然とする僕を尻目にそのままズルズルと、引き摺られるようにしてエレベーターの中に消えていった。  そこで、ハッと気付いた。  このホテルは確か旧財閥系、神宮寺グループの所有物だ。  ということは、つまり。  ‥‥‥ケーキバイキングの無料券を山田くんが貰った友達というのは、この神宮寺くんの事だったに違いない。  なるほど、それならここに西園寺さんと神宮寺くんが居るのも納得である。  しかしそこで沸いてきた、新たな疑問。  ならなんで西園寺さんは、僕の姿を目にした瞬間青ざめたんだ?  じっと西園寺さんの顔を見つめると、彼はサッと目をそらした。  ‥‥‥めちゃくちゃ、怪しい。 「西園寺さん?  詳しいお話を、聞かせて貰いましょうか?」     満面の笑みを浮かべ、告げた。

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