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彼の言葉にぎょっとして、大きな声が出た。
そこで自身の失言に気付いたのか、僕から慌てて視線をそらす西園寺さん。
やっぱりこの人、ヤバい。
‥‥‥さすがにこれは、気持ちが悪過ぎるだろ。
ドン引きし、身震いしながらドア側に体を詰める僕。
運転席では二見さんが、『だからやめておけって、言ったのに』とボソッと呟いた。
震えがようやく治まると今度は怒りに任せて、盗撮された画像や動画が無いか、有無を言わさずスマホを奪い確認してやった。
その結果僕がにこにこ弁当で接客する姿や、ハラちゃんとご飯を食べているところ、更には先日泊めてあげた時に撮られたと思われる僕の寝顔のどアップなど、数々のデータを押収した。
「あぁ‥‥‥俺の、宝物が。生きる、糧 が!!」
頭を両手で抱え、この世の終わりみたいな顔をしてふるふると絶望に震える西園寺さん。
だけどこんなのはどう考えても許されざる行為だから、全部綺麗サッパリ削除した上で、にっこりと笑ってトドメを刺した。
「今度見付けたら、二度と口を聞いてあげませんからね。
‥‥‥西園寺さん、これはさすがに人として完全にアウトです」
ガックリとうなだれる姿を前に、少しだけ可哀想な気もしたけれど、甘やかすのは良くないだろう。
だってこの人、すぐに調子に乗るし。
残念そうに空になったスマホの画像保存用フォルダーを、いつまでもじっと見つめる西園寺さん。
自業自得だとは思うものの、ずっと無言のままなのもこちらが落ち着かなかったから、さっきから疑問に思っていた事を聞いた。
「そう言えば、西園寺さん。
さっきはなんであんなにも、慌てていたんですか?」
すると西園寺さんは、再びグッと言葉に詰まった。
どのみちろくな事では無いだろうと思いながらも、あの時の西園寺さんの様子から思うに、絶対に僕にも関係のある話に違いない。
その後もしつこく詰め寄ってはみたけれど、吐こうとしない彼。
それに苛立ち、ずっとほぼ空気と化していた二見さんに声を掛けた。
「ねぇ、二見さん。
あなたはこの人が何を企んでいるか、知っていますよね?」
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