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バックミラー越しに、絶対に言うんじゃないぞとでも言いたげに二見さんに圧をかける西園寺さん。
するといつものように穏やかな笑みを浮かべ、二見さんは静かな口調で告げた。
「申し訳ございません、陸斗さん。
私の口から語れる事は、何も」
だからこれは何も聞き出す事は出来そうにないかと、諦め掛けたのだけれど。
そこで二見さんは腕時計をチラリと確認し、ニヤリと笑った。
「と言うのが求められる模範解答だろうけど、そう言えば今日は小休憩を取る暇が無かったな。
ってことでここからはその時間を利用して、西園寺家の秘書ではなく、海晴の悪友として語りまーす」
突如軽くなった、口調と雰囲気。
それに驚いていたら、西園寺さんは慌てた感じで珍しく大きな声を出した。
「おい!お前、何を言う気だよ!?」
だけど二見さんは気にするでもなく、ニヤニヤと笑いながら言った。
「だって、ほら。こっちも色々と溜め込んでると、ストレスが溜まるワケよ。
そのせいでこの間なんか、胃に穴が空いたんだかんな!
たまにはお前ばっかじゃなく、俺も陸斗くんと喋らせろ」
そして二見さんは、ケケケと悪魔の如き表情で笑った。
再び言葉に詰まる、西園寺さん。
いやコレ、ホントにあの二見さんなのか?
‥‥‥キャラが、変わり過ぎだろ。
「海晴と俺は、高校時代のクラスメイトでさぁ。
腕っぷしを買われて、元々はボディーガードとして雇われたのね?
なのに俺があまりにも有能過ぎたせいで、いつの間にか秘書も兼任させられるようになってさぁ」
その言葉にまた、驚かされた。
だって二見さんは僕よりも華奢で、小柄で、黒縁の眼鏡の似合う色白な男性なのだ。
大きな黒目がちの瞳や長い睫毛と相まって、どちらかというと女性的な印象すら受けるこの人が、鍛えられた肉体を持つ長身の西園寺さんのボディーガードって‥‥‥。
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