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「こう見えて俺、昔はめちゃくちゃヤンチャでさぁ。  海晴に拾って貰ってなかったら、今頃はお天道様の下を堂々と歩けない身だったかもね」  困惑する僕の視線に気付いているだろうに、ニヤニヤとそれすらも楽しんでいる様子でいつもとはまるで異なる早口で語り続ける二見さん。 「そのせいでうちの両親なんて、コイツの家の方には足向けて寝らんないっつってるくらい。  だから俺には、海晴の馬鹿の暴走を止める義務があるんだよね」  その話を聞きながら、苦虫を噛み潰したみたいな顔をしている西園寺さん。  「そんな事、全く望んでないよ。  俺とお前は友達なんだから、プライベートでは対等なはずだろ?  そもそもの話、信用出来る人間が他に周りに居なかったから、声をかけただけだし。  ギブアンドテイクの関係なんだから、感謝されるいわれも無い」  完全なる主従関係だと思っていたけれど、どうやら違ったらしい。   「おっと、話がずれたな。  んで陸斗くんが聞きたかったのは、海晴が何を企んでるか、だっけ?」  二見さんの口元が、ニヤリと意地悪く歪む。  この機会を逃すときっと、この一筋縄でいかない秘書は真相を教えてくれないだろう。  だから僕は素直に、コクンと頷いた。  本当は学生時代の西園寺さんのお話を、もう少し聞いてみたい気もしたけれど。 「二見‥‥‥黙れ」  いつにない迫力で、低い声で脅迫にも近い事を言う西園寺さん。  だけど二見さんは中指を立て、その要求を拒絶し話を続けた。 「ほら、来週の金曜はクリスマス・イブじゃん?  それで海晴、無駄に張り切ってサプライズを考えてたらしくてさぁ」  二見さんのこの発言を受け、西園寺さんはサプライズがサプライズで無くなった現状にがっくりと再び項垂れた。  だけど、うん。  ‥‥‥間違いなく、ろくな話じゃないな、コレ。

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