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実は少し前から、気にはなっていたのだ。
そろそろ、クリスマスだなって。
でも西園寺さんからは何のアクションも無かったから、疑問に思いながらもあえて考えないようにしていた。
だって僕のストーカーであり、先日あんな目に遭わされた彼に誘われるのを、ひそかに心待ちにしてソワソワしていたとか‥‥‥こんなのまた調子に乗らせるだけだから、絶対に知られたくない。
「前もって誘ったら確実に泊まりは断られるって分かってるからこの野郎、姑息にも陸斗くんに許可を取る前に、勝手に神宮寺のお坊っちゃんに融通を利かせて貰って、ちゃっかりさっきのホテルのスイートルームを押さえてやがったんだよ。
イブの前日とかに言えば陸斗くん、たぶん断れないから」
二見さんの言葉に、ブフォッと吹き出した。
だけどその断れないという言葉の意味するところが分からず、首を傾げた。
そしてその隣で西園寺さんは、ふて腐れたように唇を尖らせた。
「だって直前だとあんなところ、結構な額のキャンセル料が掛かるに決まってるから、陸斗くん嫌でしょ?」
確かに、その通りかも。
貧乏性だから、泊まってもいないのに死に銭 を支払うとか‥‥‥自分の金じゃないとしても、絶対に嫌だ!
僕の性格を良く理解した周到且つ悪質なそのやり口に腹が立ち、ギロリと睨み付けると西園寺さんはごめんと小さな声で呟くように言った。
「これまで人並みに恋愛もしてきたはずなのに、陸斗くんが絡むと色々と思考回路に異常をきたすみたいでさ。
あのホテルの最上階にある夜景の綺麗なレストランで、年末の歌合戦にも出場予定のアーティストの友達に依頼して、フラッシュモブ演出をやって貰って衆人環視の中、ただのストーカーの分際でプロポーズしようとしたりしてたんだよ」
ホント馬鹿だよねぇと言って、二見さんはゲラゲラと笑った。
キモい!キモい!キモい!
何だその、地獄みたいな時間。
そんなサプライズ、ぜんっぜん嬉しくない!
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