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 社会的な評価としてはかなりやり手との話だが、この人やはり、どこかずれている。  あと無駄に、顔が良い。  ‥‥‥なんか、ずるい。  だって西園寺さんの整った顔面が僕の言葉ひとつで変化するのを見ると、なんだかちょっぴりむず痒いような、嬉しいような、なんとも言えない気分になるから。    一方運転席の二見さんは、僕の言わんとする内容を的確に理解したのか、やれやれとでも言いたげに軽く肩をすくめてみせた。 「二見さん、余計な事は言わないで下さいね?  西園寺さんが自分で気付かないと、意味がないですから」  またしてもにっこりと笑って告げると、二見さんも微笑んで、かしこまりましたと答えてくれた。  そして僕の求める言葉をまるで理解していないらしき西園寺さんは、僕らが阿吽の呼吸でやり取りするのをかなり羨ましそうに見ていた。 *** 「じゃあイブ当日は、陸斗くんも二時上がりの早番だし、一緒に遅めのランチを取ろうか?  バイトが終わる頃に、迎えに行くよ」  別れ際、にこにこと笑いながら西園寺さんに聞かれたから、僕も笑顔で答えた。   「そうですね、ありがとうございます。  では、そんな感じで。  だけど教えてもいないのにシフトを完璧に把握されているの、やっぱりとても気持ちが悪いです」  すると後半部分は華麗にスルーされ、前半の彼にとって都合の良いところだけ切り取り言われた。 「OK、なら二時過ぎに。  その休みをもぎ取るために、死ぬ気で頑張る」  そう言えば彼は、本当に最近やたらと忙しいのか、昼間にお弁当を買いに来る事が無かった。  だから僕は西園寺さんが、あの綺麗な顔をした少年 神宮寺くんに心変わりしたのかと、本気で思ってしまったのだ。  もしかしたら僕と過ごすイブを確実なモノにするために、あんなにも仕事に追われていたのだろうか?  僕のために時間を作ろうとしてくれるのは、ちょっと嬉しい。  だけどそのせいで、彼があまりにこにこ弁当を訪れてくれないのは寂しい。

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