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 テーブルに次々運ばれてくる、コース料理達。  見た目も美しく、味だって美味しい。  だけどやっぱり緊張してしまい、ちゃんと味わう事が出来ない。  サンマなんて僕はこれまで、塩焼きでしか食べた事がなかった。  だからサラダ仕立てのコンフィなどというお洒落な食べ方もあるのだと、今日初めて知った。  隣のテーブル席の僕よりもずっと小さな女の子ですらも、慣れた様子で家族との食事と会話を楽しんでいるというのに。  これがいわゆる、育ちの違いというヤツなのだろうか?  改めて感じる、西園寺さんと僕の間にある見えない境界線。  その現実に、打ちのめされそうになったタイミングで。  この高級店には不釣り合いな、軽快なリズムのバースディソングが店内に突如流れ始めた。  それに驚き、顔を上げる僕。  すると穏やかに優しく微笑む、西園寺さんと目が合った。 「誕生日、おめでとう。  19時23分。  ……19年前の今日、君が生まれた時間だよ」  言わなくてもストーカーのこの人はきっと、気付いているだろうとは思っていた。  クリスマス・イブの今日が、僕の誕生日だって事に。  だけどもし彼が、知らなかったら。  ……釘を刺すような真似をして、逆にお祝いをしてくれと催促していると思われるのも嫌だったから、あえて何も言わなかったのだ。 「余計な真似は、しないでって。  ……平凡で普通のクリスマスが好きだって、僕ちゃんと言いましたよね?」  泣きそうになるのを誤魔化すみたいに、悪態を吐いた。  だけど彼はクスクスと笑って、僕の頭をくしゃりと撫でた。 「だって大切な君の、記念すべきバースディだよ?  本当はもっと盛大に祝いたかったけど、あまり目立つのは陸斗くんが嫌がると思ったから、これでも大幅に譲歩したつもり」

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