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オレンジ色のルームライトに照らされながら、僕に跨がったまま前髪を掻き上げる西園寺さん。
そんな些細な所作すらも色っぽくて、ちょっと怖いのに目が離せない。
まるで肉食獣に狙われた、草食動物にでもなったような気分だ。
「逃がしてあげないって、そんな大袈裟な……」
笑ってこの状況を誤魔化そうとしたけれど、強く手首を掴まれたと思ったら、先程は阻止出来たのに今度はあっさりネクタイをほどかれ、奪われた。
見せ付けるみたいにゆっくりと、緩慢な手付きで外されていくジャケットのボタン。
その間も休む事無く彼の唇と舌先が、僕の額や頬、更には首筋へと這わされ続ける。
「本当に、肌がすべすべだね」
キスに翻弄されているうちに、気付くといつの間にかYシャツのボタンも全て開かれ、胸元ははだけさせられていた。
彼の大きな手が僕の体の上、焦らすみたいに卑猥に蠢き、心と体、その両方に熱を灯していく。
「真っ白なのに、ここだけ赤くほんのり色付いてる。
誘ってるみたいで、やらしくて可愛い」
剥き出しになった胸の先端に、クスリと笑って軽く歯を立てられた。
その瞬間僕の体は大きく反り返り、まるで差し出すみたいになったそこに、彼の舌先がねっとりと絡み付く。
「待って、西園寺さん……。
お風呂!するなら前みたいに、お風呂でして……!」
必死に提示した、妥協案。
でも西園寺さんは楽しそうに笑い、もう一度僕の胸に歯を立てた。
「駄目。もう少し、俺が楽しんでから。
あとお風呂は入らせてあげても良いけど、初めてだから今日はちゃんとベッドで……ね?」
いつもよりも興奮したような、少しだけ上擦った声で卑猥に囁かれた。
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