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「えっと……西園寺さん。
僕、自分で脱げますから!」
当たり前みたいに彼が脱がそうとするものだから、慌てて訴えた。
そう。……何度も僕は、言ったのだ。
西園寺さんに脱がされるのは、恥ずかしいから嫌だって。
なのに言えば言うほどこの変態は興奮してしまうという事に気付いたから、途中からは心を無に保ち、おとなしくされるがままにしておいた。
いそいそと僕の身ぐるみをすべて剥ぐと、彼も衣服を脱ぎ捨て、僕の体を支えながら浴室に。
「陸斗くんは、本当に肌が白いよね。
それに滑らかな肌触りだから、ずっと触っていたい」
彼に触られるのは、別に構わない。
大きな手のひらで、優しく頭を撫でられるのは好きだし。
だけどそれも場所と触れ方による、と感じてしまうのも仕方がない事だと思う。
……この人、男の乳首なんか触って、一体何が楽しいんだろう。
なのに彼に軽く触れられるだけで再び快感のスイッチが入ってしまったみたいに、だらしなく口を開けて吐息を漏らす事しか出来なくなってしまう。
そして体の方はもうこれが気持ちの良い行為だというのを覚えてしまったのか、僕の意思に反してはしたなく、更なる刺激を求めているのを感じる。
僕の反応をじっと見つめる、熱のこもった瞳。
恥ずかしくて目をそらしたいのに、何故か彼からそらせない。
「そのうちここだけで、イけるようにしてあげるね」
クスクスと笑いながら耳元で囁かれ、それに驚きまたしても泣きそうになりながら左右に激しく首を振る。
だけど強くそこを捏ねられると、僕からは拒絶の言葉ではなく、卑猥な喘ぎ声だけが溢れた。
それが恥ずかしかったから、慌てて手で口元を覆った。
だけど彼はその手首を掴み、指先にねっとりと舌を這わせた。
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