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 ようやく胸から離れたと思ったら、彼の手は今度は足の付け根の辺りを焦らすように軽く撫でた。  期待感から、ゴクリと喉が鳴る。  だって僕の体はもう、知ってしまっているから。  ……この人にシて貰うのは、めちゃくちゃ気持ちが良いって事を。  既に溢れ始めていた先走りを指先で確認するみたいにトントンと軽く先端をノックされると、羞恥で焼かれたみたいに全身に熱い炎が灯った気がした。 「ここももう、触って欲しい?」  既に臨戦態勢にある敏感な場所をそのまま優しく手のひらで包み込まれ、ゆっくり何度もしごかれる。  この頃になるともう、僕はワケが分からないぐらい快楽に飲まれ、溺れていた。  西園寺さんに触れられたあの日から、ずっと体内に溜め込んでいた欲望。  それは解放される時を、今かと待ち望んでいたみたいに僕を狂わせていく。  内側からも、外側からも。  だけどそれを言葉にするのは恥ずかしかったから、また小さくコクンと頷いた。   「ん……陸斗くん、良い子。  ちゃんと答えられたから、触ってあげるね」  キスを交わしながら、僕の体をまるで玩具みたいに弄ぶ西園寺さん。  強く握られ、激しく上下に擦り上げられる度、目から火花が飛んだような感覚に襲われた。 「西園寺さん、それ駄目……!  僕、もう……!」  達しそうになったから彼の手を汚してしまうのを恐れ、体を大きく|捩《よじ》った。  すると彼はあっさり手の動きを止めたかと思うと、ニッと艶かしく笑った。 「陸斗くんは、駄目ばっかりだね。  でも、ホントにやめて良いの?  ……このままだと、辛いよね?」

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