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意識が朦朧とする中、のそりと椅子から立ち上がろうとしたら、彼は少し慌てた感じで僕の体を支えてくれた。
「陸斗くん?……大丈夫?」
心配そうに、聞かれた。
だけどそれには答える事なく、浴槽に手を掛け、彼に向かいお尻を突き出すような体勢を取った。
「……もしかして、誘ってる?」
少し上擦った声で、興奮したように声を掛けられた。
だから僕は恥ずかしくて堪らなかったけれど、目を閉じて答えた。
「西園寺さんも、そのままだと辛いですよね?
……この間みたいに、してくれて良いですから」
身体に触れられている間、時折背中に当たるのを感じた熱く固い肉の感触。
先日とは違い、きちんと気持ちを伝え合い、付き合う事になった今、彼にも一緒に気持ち良くなって欲しい。
……そう思ったのに。
「ごめん、陸斗くん。
今日はもっと俺達の関係を、進めても良い?」
「……へ?」
僕と西園寺さんは、男同士だ。
……先日の、アレ 以上の事とは?
本気で意味が分からず、目を開けて顔だけを後ろを向け、彼の顔をポカンと見つめた。
「今日はちゃんと、準備もしてきたから。
同性相手は初めてだけど、なるべく痛くしないように気を付けるよ」
「ごめんなさい。
……ちょっと何言ってるか、よく分かんない」
かまととぶっているワケでも何でもなく、言われている言葉の意味が本当に全く分からない。
だからYESでもNOでもなく、素直に分からないという事だけを伝えた。
すると突然ツゥ……とお尻の穴に指を這わされ、びっくりして体が大きく震えた。
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