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「……西園寺さん、変なところに指が当たっていますよ?」
まさかわざとだとは思わず、真顔で訴える。
すると西園寺さんはフッと笑い、そのままそこを解していくみたいに優しく触れた。
「えっと……あの、西園寺さん!?」
慌てて手で隠そうとしたけれど、手首を掴まれ阻止されてしまった。
「変なところじゃ、ないよ?
慣れたらここでも、ちゃんと気持ち良くなれるからね」
男なのに、ただでさえ既に胸を性感帯に変えられてしまっているのだ。
これ以上体を魔改造されたら、洒落にならない。
そう考えたから慌てて彼の魔の手から逃れようと、ジタバタと前進を試みる。
だけど僕の前には浴槽があり、後ろからガッツリ腰を掴まれてしまったから、逃げ場なんて何処にも無かった。
「なるべく、優しくするからね。
だから、良い子にしてて」
西園寺さんに褒められるのは、好きだし嬉しい。
しかしさすがにこれは、『優しく』して貰えようが、『良い子』と言われようが無理な気がする。
というか、そもそもの話。
……男同士で付き合う場合、こんな場所を触られるのは普通の事なのだろうか?
そんな葛藤が、完全に顔に出てしまったようだ。
西園寺さんはちょっと苦笑して、弄るのを止めてくれた。
だからそれに、少しだけホッとしたのだけれど。
……浴室を出た後、彼にスマホで衝撃的な動画を見せられてしまった。
そう。男同士がいちゃこらしている、いわゆるゲイ向けのアダルトビデオである。
そんなのはこれまで目にした事がなかったから、めちゃくちゃびっくりして、ついガン見してしまった。
しかも絡み合う二人の男性の姿に僕達を重ねてしまったせいで、恥ずかしくなり西園寺さんと目を合わせる事が出来なくなった。
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