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「陸斗くんに、汚いところなんて無いよ。
全部綺麗だし、可愛い」
やっぱりか!……西園寺さんなら、絶対にそう言うと思ったよ。
でもだからと言って、ハイそうですかと簡単にその言葉を受け入れられるワケではないけれど。
なのにバスローブ姿のままベッドに押し倒され、宝物に触れるみたいに優しく額にキスをされると、不思議とまぁ良いかという気分になってしまった。
「可愛くはないし、汚いものは汚いと思いますけど。
……でも僕の事を大切にしてくれるなら、いいですよ」
彼の顔を見上げたまま、照れ臭かったから仏頂面でそう答えた。
すると西園寺さんはニッと笑い、僕の髪にまたくしゃりと触れた。
「大切にするに、決まってる。
それこそ君が、もう嫌だって言うくらいにね」
普通であればこれは、キュンとしたりする場面なのだろう。
だけど相手は僕の、元ストーカー なのだ。
彼の好きになんてさせたら、ろくな事にならない気がする。
途端に違う意味で不安になり、慌てて叫んだ。
「嫌だって言いたくなるほどは、本気で止めて下さい!
度を過ぎた行動を繰り返すようなら、即あなたとは別れますからね?」
蒼白の面持ちでコクコクと何度も頷きながら、妙な真似はしない、大好きだから別れないでと必死に訴える西園寺さん。
それを見てちょっと馬鹿らしくなり、ついプッと吹き出した。
「大好きですよ、西園寺さん。
何となく、納得はいきませんが」
彼の頬に、手を添えて。
軽く僕の方から、自発的に口付けを求めた。
スルリとほどかれた、バスローブの腰紐。
先程またしても全裸姿を晒した直後ではあるけれど、それとこれとは話は別で、やっぱりちょっと恥ずかしい。
だけど彼に愛されると決めたから、されるがまま、脱がされた。
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