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「アハハ。陸斗くんは、嘘が下手なんだから。
やっぱり君、全然嫌そうじゃないんだけ……ど!」
最後の一音を発するタイミングで、一際深く突かれた。
だけどもう痛みも、羞恥心すらも完全に消え去り、残っていたのはただこの行為が気持ちいいという感覚だけだった。
あんあんと壊れたみたいに卑猥な嬌声をあげながら、与えられる快感を夢中で貪ろうとする体。
普通であればこんなの、絶体に抵抗がある行為なのに、大好きな彼に抱かれているのだと思うと、むしろ嬉しいとすら感じた。
それに西園寺さんがさっき言っていた通り、これは全部薬のせい。
僕がいやらしいからじゃない。
もしかしたら|媚薬入りのローション《あんな物》を彼が使ったのは、体を敏感にさせるためではなく、僕から理性や羞恥心を全て奪うためだったのかも知れない。
だってそんな言い訳の言葉が無ければ僕はきっと終始恥ずかしがり、素直にこの感覚を受け入れるなんて真似は出来なかったと思うから。
もちろん真実なんて、狡猾な策士であるあの人にしか分からないのだけれど。
「西園寺さん、もう僕、無理ぃ……!」
何度目かなんて分からないくらい達して、僕はもうずっと逝きっぱなしみたいな状態だったから、さすがに限界だから止めて欲しいと必死に訴えた。
すると彼はまた僕の体を背後からしっかりと抱き、小さく震える声で囁いた。
「うん、俺ももう限界。
……君の中、良過ぎてヤバい」
ぐっ、と一番奥に突き立てたまま。
彼は僕の背中に唇を押し当て、強く吸い上げた。
そしてそれを合図にして、彼が僕の中で果てるのを感じた。
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