108 / 111

108

 窓から射し込む光が眩しくて、そっと目を開けた。  するとそこには僕に腕枕したまま穏やかに微笑む、西園寺さんの姿。 「おはよう、陸斗くん。  体の方は、大丈夫?」  ちゅっ、と音を立て、額に口付けられたものだからくすぐったいような、気恥ずかしいような、ムズムズした気持ちになった。  だけど不快では無かったから、クスリと笑って答えた。 「おはようございます、西園寺さん。  大丈夫……ではないかもですが、まぁなんとか。  ……いつの間にか僕、眠ってしまっていたみたいですね」  瞳を手の平で擦りながら、ベッドの上、のそりと体を起こす。  僕が寝てる間に綺麗にしてくれたらしき体と、着せられていたバスローブ。  いかにも事後です、といった甘い雰囲気と相まって、いたたまれない気分になる。 「朝食は、食べられそう?  ルームサービスを頼もうと思っているんだけど、何か希望はある?」  これまではストーカーだの、変態だのと罵って来たが、いざ付き合ってみるとやはりこの人は、ハラちゃんの言うようにいわゆる『スパダリ』というヤツなのだろう。  ホント、至れり尽くせり過ぎる。 「ありがとうございます、西園寺さん。  えっと……特には。お任せします」  ふと目をやった、ベッドサイド。  そこに置かれていたのは、そう。    綺麗にラッピングされた、クリスマスプレゼントだった。 「メリークリスマス、陸斗くん。  開けてみて?」  蕩けそうなほど甘い笑みを浮かべ、言われた。  だから僕も笑顔でそれを手に取り、真っ赤なリボンをほどいた。  しかしその包みを開け、中から出てきた物を見て、フリーズした。  そう……プレゼントの中身は僕が密かに好きだったアニメのキャラクターをモチーフにした、クリスタル製のフィギュア。    ネットニュースで、二百万円もするからこんな物、いったい誰が買うんだろうとちょっと話題になっていた代物だ。

ともだちにシェアしよう!