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無駄な情熱①
さらにその数日後。
僕の家の右隣二軒は瞬く間に解体され、その広大な敷地に大きな一軒家が建てられ始めた。
僕の年の離れた妹 莉緒は、レストランでも出来るのかなと楽しみにしていたから、少しがっかりしていたけれど。
「わぁ……。本当に立派なお家! こんなところ、どんなお金持ちが住むんだろう?」
完成間近となったその家を前に、不思議そうに妹が言った。
だけどこの時の僕は、考えてもいなかったのだ。
……まさかこの無駄に馬鹿デカイ豪邸に、僕が入り浸ることになるだなんて。
***
「きゃぁぁあ、見て! 莉緒。今日の、『情熱大地』。すっごいイケメンが出てるわよ!」
母のお気に入りのテレビ番組、『情熱大地』。
これはトップモデルや人気俳優、若き会社経営者といった、いま注目されている人物にガッツリ一週間密着し、その私生活を放映する人気の長寿番組だ。
しかしイケメン大好きな母と莉緒は、このテレビを全く異なる目線で楽しんでいるワケだが。
母の言葉に釣られ、ふとテレビ画面に目をやったらそこには、いつも見慣れた西園寺さんの綺麗な顔面のどアップ。
それに驚き、飲み掛けていた牛乳を、思わずブフォッと噴き出した。
「何をしてるの? お兄ちゃん! きったなぁい……」
最近少し色気付いてきた莉緒は、僕や父さんに対してやや辛辣だ。
だけどいまは、それどころではない。
食い入るように、画面を見つめる僕。
『俺の元気の、源ですか?そうですねぇ。……可愛い恋人とふたりで過ごす、時間かな?』
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