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とんでもないサプライズ①

『ピンポーン!』  およそ一月後の、晴れやかな日曜日。  ようやく直したうちの玄関のチャイムが、軽快な音を奏でた。 「はーい!」  とはいえインターホンではないから、母が居間から大きな声で返事をして玄関へと向かった。   「こんにちは、初めまして。お隣に越してきました、西園寺 海晴と申します。よろしくお願いいたします」 「こんにちは……。って、えぇ!? 西園寺さんってあの、情熱大地の!?」  その会話に驚き、僕も慌てて飛び出した。 「ちょ……西園寺さん! なんであなたが、ここにいるんですか!? それに、隣に引っ越してきたって……。そんな話、僕は聞いてない!!」  いつになく、大きな声を張り上げる僕。  だけどそんなのは想定の範囲内の出来事だったのか、西園寺さんは余裕の笑みで答えた。 「やぁ、陸斗くん。こんにちは。うん。君をびっくりさせたくて、内緒にしてたからね」  ……サプライズの、桁が違う。  それに両親にもまだ彼の事を紹介していなかったから、なんて言えば……。  困惑し、激しく動揺する僕。  すると西園寺さんは僕の代わりに、しれっと笑顔で告げたのだ。 「実は陸斗くんとは、以前から仲良く(・・・)させて頂いてます。  今日はまだバタバタしているので引っ越しのご挨拶だけですが、また改めてお伺いさせて下さい」  無駄に爽やかな笑顔でそう言うと、綺麗なお辞儀をひとつして、西園寺さんは去ろうとした。  するとそこで母さんが、余計な言葉を口にした。 「あら!陸斗と、知り合いだったんですね。まだ引っ越してきたばかりで大変だろうし、陸斗、手伝って差し上げたら?」  

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