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とんでもないサプライズ②

*** 「いったい、どういうつもりなんですか?」  仏頂面のまま、段ボールの山の開封作業を手伝う僕。  すると彼は楽しそうにクスクスと笑い、答えた。 「んー。事前に言うと、怒られそうだったから。  強行突破、しちゃった!」  しちゃった、ってなんだよ?  迂闊にもちょっと可愛いって思ってしまった自分が忌々しい。 「はぁ……。わざわざ土地を買ってまで、普通僕の家の隣に引っ越してきます?……ホント、信じられない」  既に家が建ってしまった以上、なにか言ったところでもう無駄だろう。  馬鹿馬鹿しいまでのあまりにも壮大なサプライズに、つい噴き出してしまった。 「でもここだと、いっぱい一緒にいられるし。……それに時間を気にすることなく、いっぱい陸斗くんの事を可愛がってあげられるしね?」  油断した隙をつき、ちゅっと首筋に口付けられた。 「ふぁ……!?」  突然のことにびっくりして、つい変な声が出てしまった。……恥ずかしい。 「ちなみに防音にはかなり気を遣ったから、たくさん声を出していいからね?」  その意味を理解した瞬間、ますます恥ずかしくなってしまった。  だからそれを誤魔化すため、さっき口付けられた場所を手で隠すようにしながら、ギロリと睨み付けたのだけれど。  ……西園寺さんは特に気にするでもなく、僕の体をそのまま床に押し倒した。 「……片付けは、しなくていいんですか?」  にっこりと、ほほ笑み聞いた。  すると西園寺さんはニッと笑い、僕の洋服の裾からスルリと指先を忍び込ませながら答えた。 「しなくちゃ駄目だけど。……最近忙しかったから、先に陸斗くんを補給させて?」  ……やはり無駄に、顔がよい。  本当は僕だってずっと彼に触れたかったし、触れて欲しかった。  だから抵抗することなく、そっと彼の背中に腕を回した。 「仕方のない人ですね。……まだ未開封の段ボールもたくさんあるし、あまり激しいのは駄目ですからね?」  しかし、そのタイミングで。  ……来客を知らせる、インターホンが鳴った。

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