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その秘書、有能につき②

 結局そこからは、西園寺さんのセクハラを避けつつ、三人で片付けに励んだ。  そしてお昼になると、二見さんが買ってきてくれた、お弁当を頂いたのだけれど。  ……そこで新たに、西園寺さんの吐いたろくでもない嘘が発覚した。 「あれ? 二見さん、お肉食べれるんですか?」  以前西園寺さんからは、彼はヴィーガンだから肉と魚は食べられないと聞いていた。  だから不思議に思い、焼き肉弁当を頬張る二見さんに聞いた。  すると西園寺さんはバツが悪そうに立ち上がり、いそいそとキッチンに向かうと、冷蔵庫からペットボトル入りのお茶を取り出したりしてなにかを誤魔化そうとした。……怪しい。 「あぁ、あれ? この馬鹿が吐いた、下らん嘘だよ。俺どっちかと言うと、バリバリ肉食男子だしぃ」  そうなのか……。だけどそんな嘘を吐くメリットなんか、いったいどこにあるというのか?  その理由が分からず、首を傾げる僕。  すると二見さんは、呆れ口調で続けた。 「ほら、俺もニコニコ弁当で弁当を買うようになったらさぁ。……もしかしたら俺と陸斗くんが、仲良くなるかもしれないじゃん? それに君と海晴、ふたりの会話を、俺に邪魔されるのも気に入らなかったんじゃね? 嫉妬深い男って、ほんっとやだよねぇ……」  改めて我が恋人の、僕への気持ちの悪いまでの執着を思い知らされ、戦慄した。 「うるさいよ、二見。お前もう、やっぱり帰れ!」  唇をへの字に曲げ、西園寺さんが叫んだ。  だけど二見さんはニヤリと笑い、中指を立ててそれを拒絶した。 「やなこった! 今日は休みだし、お前の命令は聞かん」  ……ホント、仲いいなぁ。

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