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その秘書、有能につき③

 そしてそうこうしていると、時刻はあっという間に夕方に。   「じゃあ俺、そろそろ帰るわ。これ以上居座ったら、海晴に明日いびられそうだし」  いびられたとしてもこの人なら平気で応戦しそうだなと思いつつ、その言葉は心の中だけに留めた。 「うん。帰れ、帰れ! けどまぁ......助かったわ、ありがとな」  さすがにお礼を言わなかったら叱ってやらねばと思っていたが、そこまで拗ねてはいなかったらしい。  しかしそこで二見さんは、思わぬ事を言い始めた。 「あ、そうだ! これ、忘れるところだったわ。はい、陸斗くん。引っ越し祝い!」  西園寺さんではなく、僕にというところを疑問に感じ、首を傾げた。  すると二見さんは、急になにやら神妙な顔をして言った。 「盗聴器の、探知機だよ。世の中には、物騒で気持ちの悪い変態がいるからね......」  僕の視線は、自然と西園寺さんに釘付けに。  そしてその言葉の意味を理解し、慌ててその包みを開けると、電池を入れてリビングの探索を開始した。 「嫌だなぁ、陸斗くん。そんなところには、仕掛けてないよ?」 「……ならいったい、どこに仕掛けたと言うんですか。もう、騙されませんからね! 『そんなところには』って事は室内の、どこかには仕掛けてあるって事でしょう!?」  ムキになり、家の中をうろつく僕。  それを見て、二見さんは満足そうににっこりと微笑み、告げた。 「良かった、ちゃんと危機感を持ってくれて。海晴。親しき仲にも、礼儀ありだぞ? あんまキモい言動を繰り返して、陸斗くんに嫌われないようにな。じゃあまた明日、会社で!」

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