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好き⑤
「本当に、可愛いが過ぎる。でも、そんなにこわいなら。そうだなぁ……。俺にしっかり、抱き付いてて?」
どれだけ僕が抵抗し、嫌がろうとも、どうやらやめてくれるという選択肢は無いらしい。
それを不満に思い、文句のひとつも言ってやろうとしたのにちゅっ、と音を立て、一瞬だけ彼の唇が僕の頬に触れた。
そしてそのまま体位を変えて、向き合ったまま強く抱き締められた。
こんな事であっさり機嫌を直し、まんまと流されてしまう自分が、ちょっと情けない。
だけどこれ以上抵抗するのも子供じみている気がしたから、言われるがまま腕を伸ばし、彼の背中に回した。
すると一際深く奥をえぐられ、自然と足も彼の体に巻き付けるようにしてすがり付くと、西園寺さんは満足そうに形の良い唇を歪めた。
「ん……、いい子。そのままいっぱい、逝って良いからね。俺もそろそろ、限界だから」
抜き差しされる度、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が室内に響く。
恥ずかしいしこわいのに、やっぱり気持ち良くて。
やめて欲しかったはずなのに、もっとして欲しくて。
体だけじゃなく、心までどろっどろに蕩けさせられていく。
「西園寺さん、好き。大好き!」
普段はなかなか口に出来ない言葉も、ほんの少しだけ素直になれるから行為の最中だと言う事が出来る。
「うん、知ってる。
俺も陸斗くんが、大好きだよ」
息を乱しながら、笑顔のまま言われた言葉。
それが嬉しくて夢中でキスを求め、与えられる刺激に溺れた。
するとさらに彼の腰の動きは激しさを増し、まるで貪られるみたいにめちゃくちゃに抱かれた。
そして、その結果。
……気付くと僕は眠る彼の腕の中、綺麗に清められた状態で優しく抱き締められていた。
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