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第6話

「正宗さんっ。 すみません。 お待たせしました」 「待ってねぇから走んなって。 マスクしてちゃ苦しいだろ」 家を抜け出ている三条は家族の動くタイミングで中々来る事が出来ず、20分も待たせてしまった。 まだ花冷えるのにだ。 だから、走るのは当たり前。 息を整えるより先に謝るのもそうだ。 だけど、長岡は気にする様子もなくポンッと頭に手をのせた。 やっぱり、大きな手がいつもより冷たい気がする。 眉を下げる三条とは対称的に長岡は楽しげな顔を見せるばかり。 「はい。 進級祝い」 ご機嫌な理由はこれも関係しそうだ。 この紙袋を手渡されたのは何度目だろう。 しかも、神社でだ。 神が存在するとかしないとかはさておき、一応はここの土地を見守っていてくれる神仏の前で。 「……あの、これって…」 「お、分かんのか。 なんだと思う?」 「…………ローター…」 「大正解。 じゃ、散歩に行こうか」 流石に“コレ”を持って職務質問なんて受けたくない。 素直に長岡の後ろを着いていく。

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