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第10話

「ん、ん……んっ、」 鼻にかかる甘い声。 痺れるような刺激。 もっと困らせたい。 酷い性癖だ。 だけど、そんなクソみたいな自分を恋人は受け入れくれる。 だから、甘えても良いか。 本当に悪い大人だ。 あとでうんと甘やかすから今だけは甘えさせてくれ。 爪先でローターをほんの少しだけ押し込んだ。 「ぅ゛……ッ」 慌てて声を飲み込んだが、溢れたそれはなんとも甘美でゾクゾクと背徳感が背筋を撫でる。 ははっ、やべぇ 癖になりそうだ…… 駄目、駄目、と目で伝えてくる三条には申し訳ないが、とてもそそられらる。 だって、目の奥はそうは言っていないじゃない。 可愛い。 守りたい。 愛おしい。 そして、それらをぶち壊すほどの愛情が三条を喘がせる。 「ん゛……っ、んんっ、」 なんとか踏ん張り立ってる状態の三条は知らないはずだ。 そうすることで、アナルが更にキツく締まることを。 頭が良いはずなのに、今はそんな事を考える余裕もない。 自分とのセックスでいっぱいだ。 例え、見付かるかもしれないという不安が混ざっていてもたいした変わりはない 遠くからやって来た足音はトイレの前を通り、また遠くへと消えていった。 それにすら気が付いていない。 ただ必死に喘ぎ声を漏らさないようにしている。 興奮で自信の息が浅くなっていくのが分かる。 みっともないほど、恋人に溺れている。 「も……イっ、ちゃ……から…っ、…」 「   」 耳元で囁かれた言葉に三条は身体を震わせた。

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