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第33話
近くの駅は、新幹線駅もある大きな駅。
だが、1階にはトイレはない。
ただの通路だ。
だからトイレを利用するには2階─階段を利用しなければならなかった。
少数人数用のエレベーターもあるが、なんだかそれを利用するのは気が引けたのでゆっくりと階段を踏み締める。
隣を歩くのは恋人。
終電も終わったこの時間だからこそ一緒に歩けるのだが、それにしてもドキドキする。
「大丈夫か」
コクコクと頷くが、今にもケツから精液が漏れそうで意識がソコにばかりいってしまう。
結腸に貯まっているが、歩く震度と重量が気になる。
パンツが濡れている事なんて気にならないほどだ。
「転ばねぇように気を付けろよ」
「は、い」
流石に人のいない駅は不気味だ。
大きな窓の外はホテルや高速を通る自動車の灯りが見えるが、なんだかホラーゲームや廃墟の探索ゲームのようななんともいえない不気味さがある。
思わず1歩長岡に近付くと肩を抱かれた。
「っ!」
「体調悪いふり。
なら、変に思われねぇって」
いくら栄えている方だとはいえ繁華街ほどではない。
こんな町の監視カメラなんて顔色が分かる訳でもないだろう。
実際下着の中が気持ち悪く、腹の中の精液も気になる。
大人しくするに越したことはない。
「ま、実際似たようなもんだろ」
「それは……」
「ザーメンタンクにされてんだぞ。
どんな気分?」
そんなの聞かなくても知ってるのに。
そういう顔で見下ろしてくる恋人になにも返せない。
改めて変態行為をしていると自覚し、顔がアツくなっていく。
だが、長岡はその顔に満悦そうだ。
「その顔だけで十分。
ほら、行ってこい」
「……待っててくださいね」
「はいはい。
転ぶなよ」
「はい」
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