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第50話
漸くボランティア先の受け入れ体制が整ったと吉田から連絡をもらい、会いに行くと子供達がわらわらと集まってきた。
「せんせっ。
ひさしぶり!」
「遥登先生だ」
「吉田くんっ、遥登先生来たよ!」
そして各々話し出す。
聖徳太子のように聞き分ける事は出来ないが、みんなが嬉しそうで三条もにこにこしながら頷いている。
やっぱり賑やかに笑う子供達を見ていると嬉しくなる。
元気でなによりだ。
本当に。
「三条くん、久し振り。
元気だった?
またよろしくね」
「三条ー、来たって?」
久し振りの顔に三条の顔はどんどんにこやかになる。
先生方や吉田とも会うのは久し振り。
なんだかんだで数ヵ月も会わなかったとは思えないほど、普通に話せるのが嬉しい。
オンラインでたまに顔を見てはいたがやっぱり生が1番。
「行こっ。
2年生になったらかけ算するんだって。
教えて」
「私割り算が苦手なの」
「うん。
行こう」
腕を引っ張る小さな手。
背丈の合わない三条は背を屈め着いていく。
それを見ながら笑う吉田の声。
あぁ、なんて嬉しいんだろう。
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