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第57話

「俺が飯作ってる間、やぁらしいオナニーしてるか。 俺の事、勃たせられたらそのままセックス」 「…っ!!」 「あのディルドも使って良いしな」 本気か冗談なのか分からない。 真顔ではないが、長岡はパッと空気が変えるのが上手い。 手の上でコロコロと転がされる。 転がされていても長岡だから良い。 嬉しいと思う俺は絆され過ぎか。 「する?」 「か、帰らないと…。 それに…………とまらなく、なっちゃいます…」 長岡の部屋でなんて箍が外れてしまう。 抑えるものはなにもない。 ブレーキが壊れてしまう。 時間を忘れていた貪欲になってしまう。 それに、今日は…… 「昼も、……結構…食べちゃって……」 「溜まってねぇか」 気にしてくれてるんだ… 意地の悪い声ではない。 本当に心配してくれてるんだ。 あんな身体の反応を見たから。 「はい。 大丈夫です」 「なら、セックスはまた今度な」 再度差し出されたアイスを口をおずおずと口にする。 どんな時でもアイスは甘くて美味しい。 が、口の開きが薄すぎて口から垂れてしまった。 慌てて口元を隠すと手が伸びてくる。 「いじめずきたか」 「……ん、ん」 「許してくれる?」 押し付けられたティッシュで口を拭われながら、頷いた。 「良かったよ」 「?」 「なんでもねぇよ。 アイス、どっちが美味い? 交換すっか?」 「え、どっち……どっち…………」 「両方食うか」 「それは駄目ですっ。 一緒に食べるって言いました」 ほら、もう空気を変えた。 だけど、これに何度も救われた。 嫌だなと思うことも、悔しい時も、パッと切り替わる空気で何度も元気をもらった。

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