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第61話

飯を食って、ダラダラとゲームをして、そうして三条の帰宅時間を迎えた。 名残惜しいが、三条のご家族の事も考えられないほど浅い関係ではない。 こればかりは共に守らなければいけない大切なものだ。 「遥登、気を付けて帰れよ」 「はい。 ご飯も、ありがとうございました。 とっても美味しかったです」 「どういたしまして。 また後で行くから」 週末にボランティアがあれば、その時に三条が長岡の部屋を訪れて、夜は長岡が三条の元へも訪れ、2回もデートが出来る。 なんとも贅沢な休日だ。 そう考えれば前向きだろ。 下向きだって、前の方を見ていれば良い。 それだって、立派な前向きに変わりない。 「でも、今日はこれから天気がクズつくって」 「んじゃ、ドライブデートだな」 捉え方1つで世界が変わると三条が教えてくれた。 どんな風に見たって良い。 その答えは、目の前の顔を見たら分かる。 「嬉しいです」 はにかむ三条にキャップを被せその上から頭を撫でた。 恋人の為ならなんでも出来る。 だから、きっちりと帰宅させるんだ。 「お菓子持っていきます」 「遠足かよ。 じゃあ、俺は飲み物な」 小さくても増える約束は嬉しい。 三条のそれみたいにだらしない顔で笑うと、忘れない内にもう1つ。 「遥登、ちょっと後ろ向いてくれるか」 「後ろですか? はい」 きちんと締められたリュックのを少しだけ開けると、中にプレゼントと転がり落とした。 それからしっかりと締め直す。 「あの、なにを入れたんですか?」 「部屋に帰るまで秘密」 「まさか、高い物じゃ…」 「そんなじゃねぇよ」 「社会人のそんなじゃないは信用薄いですよ」 「良いもんだから大丈夫だ」 そんなに信じられないか。 ドアを閉めるその際まで、そんな目で見てくる恋人を見送った。

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