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第71話

舐めた手を拭くのを眺め、長岡は本当に漸く落ち着けた。 下着が濡れていようが、自身の精液のにおいが籠っていようが、この際構わない。 シートに深く身を沈めた。 性欲が解消され、ふと気付いた。 「マスクあっちぃな」 熱が籠って暑いらしくマスクを摘みパタパタと仰ぐ。 「窓開けますか?」 「遥登は寒くねぇか」 「大丈夫です」 「じゃあ、少しだけ開けさせてもらうな。 寒くなったら言ってくれ」 そして、そのままマスクをズラしお茶を煽った。 先程までの淫らな空気が微かに残っているせいか、三条はそんな姿にすらドキドキする。 やっぱり飲食も三大欲求なんだと。 「なに見てんだよ。 えっちぃ」 「……えっちは、正宗さんです」 「俺のどこがえっちなんだよ。 清く正しい男の子だろ」 「全部です…。 あんな……あんなえっちなの……」 「お、語彙力下がってんな。 遥登も興奮してくれたか」 「……そりゃ…」 「遥登は大丈夫か? コンビニ行けるか」 「平気です。 あ、正宗さんがえっちじゃなかったと興奮しなかったとか、そういう事ではありませんよ。 すっごくえっちでした」 「力説すんなよ…」 「大切ですよ」 長岡は手を伸ばし、三条のマスクをズラした。 「顔真っ赤にして」 「っ!」 「頑張ってくれたんだろ。 ありがとな」 「ど、ういたしまして」 「んじゃ、コンビニ行くか」 「はい」

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