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第78話
昼休みが終わると、他の教諭達は授業へと向かい長岡は教科準備室に1人きりとなった。
そちらの方が気が楽だ
なにも気にしなくて良い。
長岡は大きな背中を丸めノートパソコンと見詰めあいながら庶務を片付けていた。
教師には、授業以外にも様々な仕事があり、自分のサイズに合わない机で作業をこなしていく。
クラス担当がないだけで随分楽だなと思いつつ、同時にA組と過ごしたあの日々はとても楽しかったと何度も思い出す。
忙しくとも楽しかった。
便りがないのは良いことだ。
だけど、たまに思う。
負けてはいないかと。
知る術はあるが、それはしない。
教師なんて通過点でたまたま袖が触れ合った大人、程度の認識で良いんだ。
未来はこれからまだまだ拡がるのだから、その余白を沢山残していてくれ。
換気に開けた窓から入る空気に誘われるようにそちらを見た。
遥登、なにしてっかな
春の陽気が恋人を思い出される。
太陽の光はポカポカしているが空気は肌寒い。
こんな日は、あの子供体温と昼寝に限る。
天然の湯たんぽを腹に、サラサラした髪に鼻を埋め、清潔なにおいを抱き締め、
毛布にくるまる。
あぁ、最高だ。
きっと恋人も背中に腕を回してくれる。
だから、お返しに脚を自身のそれで挟んで密着する。
お互いのにおいが交わるように。
そうして2人で貪る惰眠は、酷く心地良い。
次の休みは、遥登と昼寝すんのも良いな
すごく魅力的だ。
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