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第79話

仕事帰りに、通り道のコンビニで荷物を受け取る。 置き配も便利だが、コンビニ受け取りは必要最低限の個人情報で済むのが利点だ。 それに、コンビニなら24時間いつでも利用出来る。 例えば、晩飯の材料を買ってから立ち寄っても良いんだ。 今みたいにな。 段ボールを後部座席に詰め込み、早々に帰宅した。 ただ、1つ我が儘を言えるならこの階段だ。 エレベーターのないマンション。 その上階まで段ボールと買い物袋を手にあがる。 重くはないが広くはない階段で誰かと擦れ違うのはめんどくさい。 長岡は、誰にも会わない事を願いながらひたすら足を動かした。 ただいま…と 荷物を下ろし、腰を伸ばす。 日中の体勢が良くなかったのか伸びると気持ち良い。 だが、ここまだ玄関だ。 施錠をして靴を脱ぎ、少し。 漸く部屋に入り、すべての荷物を手放した。 そして座り込む。 一息つくと同時に、とりあえず開けてみた。 ガムテープをビーッと引っ張りクチャクチャと丸め隣に転がす。 輸送用段ボールの中には陳列用の箱。 それを手に取ろうとして、やっぱり手洗いが先だと一旦中止。 マスクをしたまま手洗いを済ませ、すぐさま戻ってくる。 開封したらまた手洗いをするのでうがいはその時だ。 マスクは外さなければ良い。 目当ての小箱を手に取り封を切った。 おー、案外でけぇな 頭を過るのは無垢な笑顔。 三条との通話を早く繋げたいが、先に確認。 交換してもらえるものはしてしまい、次の休みには使える状態にしておきたい。 これが3万か 握ってもしっかりしてるし気に入ってくくれば良いけどな 奮発したソレを、恋人は気に入ってくれるだろうか。 まぁ、杞憂そうだが。 昼寝は終わってからでも出来るしな 恋人にメッセージを送る為、ポケットからスマホを取り出した。

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