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第90話
零れる涙をタオルで拭かれ、三条はまた長岡を見詰める。
濡れた睫毛。
朱くなった鼻。
健気な姿が長岡の加虐心を煽るとも分からずに。
「あっ、…アっ……」
短く切り揃えられた爪先が裏スジをゆっくりとなぞりあげた。
ゾワゾワ、ゾクゾクする感覚に肌が粟立つ。
「ひ……ぅ、…ぅ、……アッ」
ゴムのない、邪魔のない長岡の指。
それが嬉しくて三条は腰を跳ねあげさせた。
陰茎は犬の尻尾のように嬉しい嬉しいと揺れ、顔は一際嬉しそう。
隠すことの出来ない反応に長岡は満悦そうな顔をしている。
サディストとマゾヒスト。
相反し、相性の良い2人。
「あ゛ッ!」
膀胱を押し込まれ、大きな手と玩具に挟まれる。
さらに玩具の刺激が直接膀胱を震わせる。
「もれっ!もれ、る!」
バタバタと足を動かし抵抗しようとするが、出来ない。
手を下げようとするが、動かない。
ただ、縄が擦れる音がするだけ。
長岡は微笑みながら無抵抗な三条の腹を押す手に力を込めた。
漏らすことだけは駄目だと決めたのに。
「でちゃ…ッ!」
膀胱、前立腺、精嚢がおかしくなる。
機械の振動が頭にまで響く。
奥歯を噛み締め耐えようとした。
したが、我慢しきれなかった。
「……あ…あっ…ご、なさっ…」
堰を切った瞬間、局部にタオルが押し当てられた。
ジワ…ッとタオルを濡らす感覚にまた涙が零れる。
昼に飲んだ飲み物の分だけ、少量だが漏らしてしまった。
タオルを宛がわれたといってもその事実は変わらない。
「ご…ごめっ、……なさっ」
長岡はベチャッと濡れたタオルを床に落とした。
「まさ…むね、さ…」
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