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第98話
ほどける縄の感覚にも反応する敏感な身体。
時々、短く声を漏らすのがいやらしい。
三条にそんな気がないのは理解している。
しているが、えろいものはえろい。
「痛くねぇか」
「へーき、です」
縄を床に落とし、手首の確認。
噛ませたタオルがクッションになり擦傷はない。
軽く赤くはなっているが、それ以外大きな怪我もないようだ。
「お茶、飲めるな」
ペットボトルに握らせて今度は脚の縄をほどいていく。
足首に巻き付くそれを取っていると、スッと視界に入ってきた手が局部を隠した。
「どうした。
恥ずかしいか?」
「…………垂れそう、で…」
「汚してくれよ」
三条の痕跡が欲しい。
だから、汚して欲しい。
そう言えば、三条は駄目だと頭を横に振る。
「じゃあ、抑えてて良いから水分摂ってくれ。
声、カスカスだろ」
あやすように後頭部をぽふっと撫でると、今度は素直に頷いた。
拘束は、縛るのもほどくのも時間がかかる。
それすら三条は感じているので、苦痛を感じてないだけ良い。
せめてその間に水分を摂ってくれれば、一応は安心出来る。
チビチビとお茶を飲み始めて、ほどく作業に戻った。
細い手首に絡み付く縄のいやらしさは消えないが、次第に空気は落ち着いていく。
「痛くねぇか?」
「大丈夫です、」
あと少しというところまでくると、ぐぅぅと元気な音が聴こえてきた。
「…すみません……、」
「ははっ。
最高だな。
ほどいたら飯食うか」
「お手数をおかけします…」
三条らしくて良い。
寧ろ好きだ。
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