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第99話

「熱いから気を付けろ」 「はい。 ありがとうございます…」 目の前に置かれた皿を見てから、三条は視線を長岡へと移し頭を下げた。 「まだ照れてんのか?」 「そ、んなことは…」 「ふぅん?」 恥ずかしそうな顔の原因は空腹かセックスか。 まぁ、どちらにしても可愛いことには変わりない。 腹が減るのもセックスするのも当たり前のことだ。 三条が生きている証拠。 だけど、それに照れるのが三条らしい。 あの後汚れたタオルを洗濯機に入れる前に手洗いしている間に、三条は1人で後処理を済ませた。 あんな楽しいことを1人で済ますなんて狡いよな。 次は、丁寧にナカまで洗ってやりたい。 残しておいても良いが、自宅で垂れてきても困るだろう。 「いただきます」 「ん。 沢山食ってくれ」 ま、それは追々だ。 まずは腹を満たす方が優先。 スプーンでチャーハンを掬い、口に運ぶ。 それから三条もそうした。 「味、薄くねぇか」 「丁度良いです。 美味しいです」 冷凍保存していた米でチャーハンを作ったが、上手いことパラパラに出来なかった。 その傍らには、いつもの即席ガラスープ。 簡単な物ばかりだが、三条は美味しいですと食べてくれる。 「ほんと、作りがいがあるよな」 「正宗さんが作るご飯、美味しいですから」 「もっと沢山食わせてぇ。 養いてぇな」 「え…と……」 薬指に光る指輪を指先でなぞると三条はよりいっそう赤くなった。

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