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第107話
三条は素直で可愛い。
素直でのびのびしていて、子供をそのまま大きくしたようなところがある。
例えば、今。
顔を隠しても真っ赤になった耳まで隠せていない。
その癖、頑張って気持ちを伝えようとしてくれる。
愚直で、まっすぐで、愛おしい。
最高の恋人だ。
『……あの、……正宗さん…』
「うん?」
三条はゆっくりと顔を上げると、夕日を浴びてるのかと思うほど真っ赤にした顔でこちらを見た。
『………愛してます』
きちんと目を見て言ってくれる。
当たり前だが、その言葉の意味や重みをきちんと理解しているからこそ恥ずかしがるんだ。
愛している。
そこには、世界で1人にしか伝えられない気持ちが込められている。
「俺も、愛してる。
世界で1番好きだ」
『……へへっ』
「照れんなよ」
『だって、嬉しいのと恥ずかしいの間にいます』
「遥登だけだ」
あんなに躍起になったのは、三条だけ。
教職だって、大学だって、なんとなくの選択だ。
自分の中にこんなに大きな執着心があるのをはじめて知ったのはあの日。
泣きじゃくるこの子の顔を見た時だ。
それから、多くの時間を共に過ごし、今はこんなにやわらかく無防備な顔を見せてくれている。
躍起になって良かった。
例え、結果論でもそう思う。
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