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第108話

リビングでダラダラスマホを弄っていると、頭の上から時間の声が降ってきた。 ソファの上に座る次男だ。 「なぁなぁ。 誕生日ケーキ、今年もチョコが良い?」 「うん。 もしかして今年も作ってくれんの?」 「ふふんっ。 今年は2段に挑戦すんの。 リキュールで風味つけて、やべぇの作るから楽しみにしてて」 2段のチョコレートケーキ。 想像だけで嬉しい。 それに、きっと美味い。 今からワクワクしてきた。 「けーき? おあつ?」 「兄ちゃんの誕生日だよ」 「あーとも!」 「そうだな。 30日が誕生日だもんな」 「んっ!」 頬をむにむにと揉むと、横に伸ばす。 やわらかくて良く伸びる頬は餅みたいだ。 幼児だが、まだまだ赤ちゃんらしさも残っている三男。 そんな三男も今月の終わりに2歳になる。 「へへぇー」 「すげぇ顔。 もっちもちだな」 「んえー」 「綾登のは果物沢山のっけてやる。 苺とバナナとバナナ」 「なーな、すき!」 「知ってる。 だから、沢山のっけるな」 「やくおくよ」 「おう。 やくおくな」 「いちごも」 「分かった」 拳をゴチンとぶつけ約束を結ぶ。 「けーき、たのしみねぇ」 「楽しみだな」 本当に楽しみだ。

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