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第111話
マドレーヌを2つ食べコーヒーを飲み、歯磨きまで済ませ、部屋へと戻るとイヤホンを耳に付けながら声をかけた。
「お待たせしました」
『お、お帰り』
「弟がお菓子焼いてて食べてきました。
時々、ストレス混ぜて焼くんです。
ストレス発散出来てれば良いんですけど…」
『弟の方がストレスとの向き合い方が上手めぇんだな』
「返す言葉もないです…」
ストレスを受けている自覚がないので難しい。
イライラもあまりしない性格なので、なにが自分のストレスになっているのか自分が理解出来ない。
それに関しては、弟の方が上手に感知する。
そして、それをお菓子と一緒に高温のオーブンで焼いてしまう。
そうして出来上がったお菓子も美味しいんだ。
『ま、遥登のストレスは俺が発散させるから気にすんな。
向き不向きがあんだろ』
「え……と…」
長岡のストレス発散方法を思い出し、言葉に詰まってしまった。
別に、あの発散方法が嫌とかそういう事ではなくて……。
恥ずかしい。
長岡に会えない事もストレスになっていたとは露知らず、ただそれが負荷になるど好きなのだと自覚出来たのは良い誤算だ。
自分が思っている以上に愛しているらしい。
「……その時は、お世話になります…」
『ん。
任せとけ』
この綺麗な顔にあの甘い性格なら、それも当然だ。
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