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第112話
春野菜の混ぜ込まれたスパニッシュオムレツはしっかりと火が通っていて、綾登がフォークをさしても崩れにくい。
自分で食べられるという楽しみはこうして母親が守ってくれていたらしい。
「いたあきます!」
「いただきます」
「はい。
沢山食べてね」
「あ!
かあい」
一口サイズに切られたそこに、ケチャップで顔を書いて貰い更にご機嫌だ。
「俺と食べてような」
「あーい」
身支度を整える母親を見送り2人並んで朝ご飯を食べる。
保育園に通うようになり、色んな事に刺激を受けるらしくキラキラした目で色んな事を楽しもうしている姿が可愛い。
最近は起きたら次男が朝食を食べている時に飲み物を飲み、母親が身支度を整える間にこうして末弟と朝ご飯を食べる事が習慣となっていた。
これも、オンライン授業で大学に通う必要がないから出来る贅沢だ。
三男のお迎えだってそう。
今は、そうしてしあわせに目を向けている方が心の健康にも良い。
「おいちね」
「うん。
美味しいな」
「こえね、けちゃちゃぷ」
「ちゃが1個多いな。
ケチャップ」
「ぷ」
「んー、可愛いから良いか」
小さく切られたパンと牛乳を美味しそうに食べていく。
俵型のおにぎりや、ヨーグルト、最近お気に入りのトマト味のスープに綾登の好き食べ物は増えていく一方。
勿論、食べムラや遊び食べもあるがこれも成長過程。
きちんと食事のマナーを教えながら、だが食事は楽しいと覚えて欲しい。
「はう。
ぎゅーぎゅー、くあはい」
「喉渇いてるのか?
麦茶もあるぞ」
「ちゃーちゃがいい」
「ん。
今持ってくるな」
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