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第114話

すべての授業が終わり、三男のお迎えに車を走らせる。 買い物も済ませるので今日は自動車だが、徒歩や自転車の日もある。 それはそれで楽しいお迎えだ。 ただでさえ、オンライン授業ばかりで家の中しか歩かない日もある。 散歩を兼ねてのお迎えは、三条にとっても楽しみだ。 自身も通った保育園。 その小さな靴棚の脇で靴を脱ぎ、教室に顔を見せる。 「三条です。 お迎えにきました」 「はーうっ!」 脚に抱き付いてくる弟を受け止めると、担任の先生が声をかけてきた。 「綾登くんのお兄さん、お疲れ様です」 「今日も、ありがとうございました」 「いいえ。 綾登くん、今日はお兄さんがお迎えだってずっとニコニコでしたよ。 ね、綾登くん」 「んっ! はう」 先生も慣れてのか、当たり前のようにしていてくれる。 ブラコン……より、やはり強火担当の方が似合う弟だ。 「使ったの片付けてある? まだなら待ってるから片付けて、みんなにバイバイしておいで。 かばんもな」 「あーい」 「これ、連絡帳です。 今日も元気いっぱいでした」 絵本を元々あった場所に返した綾登は直ぐ様かばんを引き摺りながらやって来た。 そして、先程のように脚にくっつく。 「せんせ、ばばい」 「綾登くん、バイバイ。 また明日ね」 グータッチをして挨拶をする先生にもう一度頭を下げて保育園を後にした。

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