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第117話

父親が帰宅し、家族揃って晩飯を食べる。 すっかり定番になった。 三条が土日に自宅にいる事も相まり、ほぼ毎日の日常。 時々、長岡との食事が恋しくなるが、その恋人は様子を見ながら一緒にお菓子や軽食を食べてくれる。 そうやって自分も守られている事を知れる。 「美味い!」 「んーまっ!」 うどんを啜る弟は美味い!美味い!と食べている。 「良かった。 沢山食えよ」 「あーいっ」 「豚丼も美味い!」 「あーとも、あー!」 「腹いっぱいになんぞ。 ほら」 なんだかんだ仲の良い二人。 豚丼を食べさせてもらい、綾登はニコニコだ 羨ましくも思いつつ、三条もうどんを啜る。 「こえ、すき!」 「もうやんねぇぞ。 俺の分なくなるし」 「くあはい」 「……作ってくる」 「お母さんがやるから優登は食べてて。 綾登、いつものお茶碗で良い?」 「あっとます」 「あ、父さんもやっぱり食べたい」 夫婦2人で席を立つ姿に、優登は米を掻き込んだ。 3年になっても思春期は終わらないらしい。 ま、それでも可愛いが。 「俺の分も食う? マドレーヌ余ってんだろ。 あれくれるなら交換」 「やった! 兄ちゃん大好き!」 「あーともっ、いっちゃすき!」 「父さんも美月ちゃん好き」 うげぇ…とした優登の顔が面白い。

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