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第118話

隣を歩く人を見上げる。 この人に対して溢れる気持ちは家族に向けるもののようにあたたかく、だけどもっと愛おしい。 家族という括りになったのに不思議だ。 これが、自分達がつくった家族のあたたかさなのだろうか。 両手でそっと抱き締めたくなる気持ちだ。 「好き、です」 「いきなりどうした?」 「え、と……」 思わず口から出てしまった言葉に顔を赤くした。 自分で言っておいて。 夕飯時の事を話すと、長岡は納得したように笑う。 微笑ましいとばかりの顔が少しだけ恥ずかしい。 「ほんと、ご家族の仲良いよな」 けれど、今更な話だ。 長岡は、母親とも弟とも会った事がある。 隠すなんてしなくて良い。 晒け出したって。 長岡は見た目通り大きな愛情で、自分と自分を取り巻く世界をすっぽりと包んでくれる。 それは絶対だ。 「でも、嫌な顔する弟も可愛くて」 「遥登も可愛いぞ」 「え…」 「それに、好きだ。 1番好き」 「…へへ」 「世界で1番愛してる」 「へ、へへ…っ」 「愛されてる自覚は?」 「すごくあります。 大切にされてるなって」 繋いだ手からも伝わってくる。 そこに填められた家族の証も。 長岡は絡めていた小指をほどくと、しっかりと手を握った。 「じゃ、今日はもっと伝えるな。 溢さず受け止めろよ」

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