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第120話

クスクス笑われたって、ずっとが良い。 それだけは我が儘でも譲りたくない。 「そういうところ見ると年相応に見えるな」 「俺は健全な20歳です…」 「知ってる。 いたいけな20歳な」 9歳の歳の差は大きい。 学生だと尚更だ。 出会った時から相手は社会人。 どうしたって子供だ。 だけど、子供にも譲れないものがある。 絶対に老後は養うと決めている。 下の世話もだ。 絶対にしてやる。 「ちょっと待っててくれるか。 飲みもん買ってくる」 「はい」 コンビニの明かりを指差す長岡に頷き、自動ドアの前で別行動。 長岡は店内へ。 三条は店外のまま。 空を見上げ、星を見付ける。 1つ、2つ、3つ。 数えている内に、背後の自動ドアが開いた。 「待たせた」 「いえ。 おかえりなさい」 「どっちが良い?」 差し出された手にはソフトクリーム。 バニラ味とチョコとのミックス味。 長岡を見ると、小首を傾げられた。 「迷います…」 「好きな方選びな」 「うーん…」 「バニラも美味いぞ。 ミックスも美味いよな」 「えっと……」 「両方でも良いぞ」 「それは駄目です。 正宗さんが先に選んでください」 「今日は遥登を甘やかすって言ったろ」 飲み物が入ったレジ袋から取り出されたのはスプーン。 「半分こな」 「はいっ!」

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