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第134話
車内に乗り込むと、今回もやっぱり長岡は同じく後部座席へと乗り込んだ。
最近の長岡はこうやって甘やかしてくれる。
隣にいられるだけで、口端が緩んでしまうほどに嬉しい。
「誕生日といえば、ケーキだろ。
一緒に食おうぜ」
前の座席から取り出されたそれを、手渡される、
ケーキ店の名前が印刷された真っ白い箱。
その中には、色とりどりのケーキが詰まっていた。
「沢山!
こんなに、良いんですか」
「あぁ。
食えるなら全部食ってくれ。
俺は…流石にケーキはそんなに食えねぇ」
「どれも美味しそうです。
これ、こどもの日のやつですか?
鯉のぼりの飾りが刺さってます」
にこにことあどけない顔をしながら、箱の中を覗く三条。
やっぱり、何度見ても良い。
大好きだ。
そんな感情が駄々漏れの顔をしている。
「ありがとうございます。
嬉しいです!」
「買ってきて良かったよ。
この顔だもんな」
アルコールジェルをスリスリと手に刷り込み、手洗いのかわり。
それから手を合わせて、いただきます。
飾ることない姿と共に、ここが部屋だと錯覚してしまう。
各々が好きな物を選び、ケーキ店でもらったフォークでそれを掬う。
クリームを頬張る三条の顔と言ったらない。
「んーまっ」
「美味いな」
「はいっ。
すごく美味しいです」
とびっきりの笑顔を見せてくれる。
自分に会った時以上にも思えるが、まぁ今日だけは特別だ。
長岡はまだ食べ途中のそれとは別に、もう1つを箱から取り出した。
「齧り付くか」
「それは、行儀が…」
「今日くらい良いだろ。
ほら、チーズケーキならクリームねぇし良さそうだな。
思いっきりイケ」
じゃあ……、とおずおず顔を近付けると、大きな口で食い付いた。
「ははっ、でげぇ口。
美味いか」
「はい。
すごく美味しいです」
「じゃ、もう一口」
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