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第140話

サッとシャワーを浴びてくると伝えると、しっかりあたたまってくださいと言われてしまった。 あまり離れたくはないのだが、心配させたいわけではない。 それなりにあたたまってから部屋に戻ると、画面の中の恋人が可愛いことをしていた。 「ただいま」 『あ、おかえりなさい』 「着てくれてんだ。 似合ってる」 『…はい。 すごく、良いにおいがします』 先程渡した服を着て、三条はふにゃふにゃしている。 ぶっちゃけ襲いたい。 自分の服を着て、こんな無防備に笑って。 押し倒して、セックスで滅茶苦茶にしたい。 自分のだって、自身でマーキングをしたい。 『今日は、このまま寝ちゃいます』 「折角の誕生日が俺のにおいで良いのかよ」 『正宗さんが良いんです』 その名前みたいな顔をするから、はじめての気持ちが芽吹いてとまらない。 その芽はグングン伸びて沢山の花を芽吹かせる。 本当に、三条の存在は大きい。 「香水は? 部屋に撒かねぇのか」 『します』 いそいそとベッドから降り、画面から消えた三条。 自分の服を着て、部屋をうろうろしているのが嬉しい。 こんなことで独占欲を満たすのはどうかとも思うが。 『正宗さんのにおいしかしません。 えっちぃです』 「興奮すっと寝れねぇぞ」 『平気ですよ。 今日は祝日ですから』 「今日は誕生日だろ。 祝日はおまけだ」 なによりも大切なのは恋人のこと。 例えどんな日であろうと、この子がいてさえくれればなんでも乗り越えられる。

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