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第142話
「はーっ、美味そ…」
三男をおんぶした三条が見守る先には、ケーキのデコレーションをする次男。
「ごめん、マカロンちょっと焦げた」
「え?
なんで謝んだよ。
焦げたって少し色付いただけだろ。
つか、これは焦げに入んのか?
問題なく美味そうじゃん」
「いちお、ちょーだい」
「ありがとう。
でも、1番良いので作りたかった。
マカロン苦手だ…。
いちごはあとでな」
冷蔵庫の中には、母によってしこたま仕込まれたからあげになる鶏肉や三条の好物の下準備されたものが詰まっている。
一升炊きの炊飯器もパンパンにご飯を蓄えている。
が、足りないことも考慮し、麺の用意もある。
今日ばかりは、腹一杯─綾登がいうお腹がぽんぽこりん──になるまで食べさせるんだと、意気揚々。
思い返してみれば、誕生日には机いっぱいの食事が並び、お腹を膨らませてケーキを頬張っていた。
プレゼントも勿論嬉しいが、机いっぱいの好物は母の愛情が感じられ大好きだ。
やっぱり自分の為に時間を使ってくれたことが嬉しい。
「だめぇ?」
「ケーキをもっと美味しく食べる為にお腹空かしといた方が良いだろ?
今日は、からあげだし」
「かららげ!
すき!」
「俺も好き。
だから、遊ぼうか」
三条は身体を揺らし、綾登をあやす。
キャッキャッとご機嫌なのは朝から兄にベッタリだから。
保育園もお休みでしこたま兄と遊べる。
しかも、次男もいるときた。
2人から離れようとしない。
「ゆーとも」
「もう少し待って。
ケーキが先な」
「あーそーぼーっ」
「ちょっ、耳のとこでおっきい声は駄目だって…」
「ごえんね」
「気を付けてくれる?」
「うんっ!」
「気を付けてねぇ。
兄ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫…」
なんたって、大好きな人達に囲まれて過ごす誕生日はとても嬉しいから。
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