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第145話

三条は腹いっぱい飯を食べてケーキまで完食した。 まだ焼き菓子は残っているが、それは明日以降の友達おやつ。 本当に次男の作るお菓子は美味しい。 甘さが丁度良くて塩梅がピタリと合う。 部屋に戻ってくると、すぐに小さな画面へと声をかけた。 『お、おかえり』 「ただいまです。 ケーキ、やばかったです」 『本当、弟すげぇよな』 「成長期ですから。 なんでも吸収しちゃうんです」 『遥登そっくりだ』 スマホの写真を見せながら食事の話をする。 山盛りのからあげ、美味しいケーキ。 父親に誘われたが断ったアルコール。 一緒に過ごせなくても、共有出来る。 出来ることを数えた方が自分には合っている。 だから、沢山の話をした。 その1つひとつに長岡は頷き、楽しそうな顔を返してくれる。 『羨ましいな。 今からそっち行こうかな』 「え…」 『迷惑か?』 「そんなことはっ、ないです。 でも…」 『明日は振替休日だろ。 遥登さえ良ければ俺とデートしてください』 そんな顔で微笑まれ、駄目ですなんて言えるはずがない。 いや、言うつもりもないが。 だけど、すごく整っていて照れてしまう。 芸能人か?と思うほどの顔が、自分だけの為に微笑まれる。 なんて贅沢だ。 たまらない。 思わずベッドの上で正座をし、頭を下げた。 「はい。 喜んで」 『じゃあ、ちょっとドライブすっか。 2人っきりになれんだろ』 「嬉しいです。 ありがとうございます」 なんだか誕生日様々な日だ。

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