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第150話

ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外す。 その1つひとつを皺にならないようにハンガーに引っ掛けていく。 『ストリップ?』 「変な事、言わないでくださいよ…。 着替えにくい…です…」 『見せてくれよ』 ニヤニヤと口元を緩めても格好良い人。 下品にはならず、様になる。 狡い人だ。 この良い顔に絆され、なんでも許してしまう。 「……少しだけ、ですから」 『生着替え』 「…言い方が、」 ワイシャツのボタンを外していくのだが、緊張してきた。 首元から下ろしていく。 シャツの下には部屋着の半袖シャツを着ているので素肌を晒す訳ではない。 なのに緊張してしまうのは、長岡が生着替えだのストリップだのと生々しいことを言うからだ。 ワイシャツを腕から引き抜き、ベルトに触れる。 カチャカチャと金属音に、何の気なしに長岡の方を見るとマジマジと見ていた。 『良いねぇ。 えろいよ』 「普通に着替えているだけ、です…」 『ストリップだろ。 今日のおかずにすっから、続きも見せてくれ』 「……」 恥ずかしい。 おかずにされる。 だけど、同じだけ嬉しい。 自分でも良いんだと思えて嬉しいんだ。 バックルの次は、フロントボタン。 更にチャックを下ろし、また長岡を見た。 先程とかわらず口元を緩ませるだけ。 別に女の子でもないのだから、下着を見られたって恥ずかしくはない。 なのに、つい生唾を飲み込んでしまう。 『なぁに期待してんだよ』 「……そんな、ことは…」 『してねぇ?』 『…………多分』 「へぇ? 夜、期待に応えようと思ったんだけどなぁ。 ま、遥登が期待してねぇなら良いか」 「え…」 しまった。 思わず食い付いてしまった。

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